日本化学療法学会

講習会

抗菌薬適正使用生涯教育セミナー 確認試験問題 過去の記録

平成26年度 抗菌薬適正使用生涯教育ビデオセミナー確認試験問題

1.入院患者の発熱の考え方

問.入院中の発熱原因として頻度の高い感染症として誤っているのはどれか。

  1. 肺炎
  2. 尿路感染
  3. 感染性心内膜炎
  4. カテーテル関連血流感染症
  5. Clostridium difficile感染症

2.原因菌不明時の抗菌薬の選択とその考え方

問.原因菌不明時の抗菌薬の選択とその考え方において誤っているものを以下から一つ選択せよ。

  1. 感染臓器と原因微生物の間には関連がある。
  2. 医療関連感染症のEmpiric Therapy選択には、施設のアンチバイオグラムが有用である。
  3. 医療関連感染症のEmpiric Therapyでは常に抗MRSA薬を併用する。
  4. 感染臓器不明の敗血症例では、Empiric Therapy選択において患者背景情報が極めて重要である。
  5. 原因菌不明の感染症で、既に抗菌薬が投与されていても、背景情報と抗菌薬治療開始後の経過から、抗菌薬治療を再選択することは可能である。

3.各科領域

1)小児科

問.小児で細菌性髄膜炎を反復した場合、考慮すべき疾患を選べ。

  1. 糖尿病
  2. 原発性免疫不全症
  3. 内耳奇形
  4. 水腎症
  5. 先天梅毒

 a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)

2)骨・関節の感染症と治療

問.腰椎の急性骨髄炎の起因菌で最も多いものを次の中から選べ。

  1. α連鎖球菌
  2. β連鎖球菌
  3. 腸球菌
  4. 黄色ブドウ球菌
  5. 肺炎桿菌

問.脊椎骨の急性骨髄炎に対して適切な抗菌薬治療を続けるべき最短の期間は次のどれか。

  1. 1週間
  2. 2週間
  3. 3週間
  4. 4週間
  5. 6週間

3)尿路性器感染症

問.尿路性器感染症について正しいのはどれか。

  1. 大腸菌のキノロン耐性率は3割程度である。
  2. 治療不応症の急性前立腺炎では、フルニエ壊疽に進展する場合が多い。
  3. 急性複雑性腎盂腎炎では、尿中β2-MGが特異的マーカーとなる。
  4. 急性精巣上体炎では、全年齢でクラミジア・トラコマティスが主要な原因菌である。

解答

1.入院患者の発熱の考え方
 3
2.原因菌不明時の抗菌薬の選択とその考え方
 3
3.各科領域
 1)小児科
   c
 2)骨・関節の感染症と治療
   4
   5
 3)尿路性器感染症
   1

平成25年度 抗菌薬適正使用生涯教育ビデオセミナー確認試験問題

1.抗菌薬選択

1)MICのよみ方とブレイクポイントの考え方

問.次の文章のうち正しいものはどれか。1つ選べ。

  1. Serratia marcescensはアンピシリンやアモキシシリン・クラブラン酸に自然耐性を示す。
  2. CLSIでは、Streptococcus属に対して第4世代セフェム系薬とレボフロキサシンがGroup A(通常検査し、報告する)の薬剤として定められている。
  3. MICが低い薬剤ほど、臨床的な有効性が期待できる。
  4. ブレイクポイントは一旦決められたら変更されることはない。
  5. 薬剤感受性検査の方法や報告様式は、臨床微生物検査室だけで決定するべきである。

2)新薬

問.次の文章で正しいものはどれか。1つ選べ。

  1. MRSA肺炎に対してDaptomycinを投与した。
  2. Daptomycinの注意すべき副作用は腎機能障害である。
  3. 多剤耐性緑膿菌による菌血症症例にTigecyclineで治療した。
  4. Tigecyclineの注意すべき副作用は横紋筋融解である。
  5. 多剤耐性アシネトバクターによる肺炎症例にColistinを投与した。

2.投与量設定と投与方法

1)各種薬剤とPK-PD

問.院内感染制御チームの一員であるあなたは、PK-PD理論に基づく抗菌薬の適正使用の観点から意見1~5を提言した。適切なものを2つ選べ。なお、提示されている症例はすべて成人男性(年齢40歳、体重60kg)である。

  1. ピペラシリンナトリウム(PIPC)の適応菌種による感染症例(腎機能正常)に対して、PIPCが1回1g、6時間ごとに点滴静注(1時間点滴)と指示されていたので、1回用量を4gに増量して24時間ごとの点滴静注(点滴時間1時間)に変更することで有効性が高まる可能性のあることを提言した。
  2. レボフロキサシン水和物(LVFX)の適応菌種による感染症例(腎機能正常)に対して、LVFXの経口投与製剤(後発品)が1回100mg、1日3回で処方されていたので、1回量を300mgに増量して、1日1回投与に変更することで有効性が高まる可能性のあることを提言した。
  3. メロペネム(MEPM)の適応菌種による感染症例(腎機能正常)に対して、MEPMが1回3g、24時間ごとに点滴静注(1時間点滴)と指示されていたので、1回1gの8時間ごとの点滴静注(3時間点滴)に変更することで有効性が高まる可能性のあることを提言した。
  4. アルベカシン硫酸塩(ABK)の適応菌種による感染症例(腎機能正常)に対して、ABKが1回200mgで24時間ごとに点滴静注(30分間点滴)と指示されていたので、1回100mgに減量して12時間ごとに点滴静注(3時間点滴)に変更することで有効性が高まる可能性のあることを提言した。
  5. レボフロキサシン水和物(LVFX)の適応菌種による感染症例(クレアチニンクリアランス=30mL/min)に対してLVFXの経口投与製剤(先発品)が初回500mg、翌日から250mg1日1回で処方されていたので、連日500mg 1日1回に変更すべきであると提言した。

2)臓器障害と薬物相互作用

問.次の内、CYP3A4酵素を誘導する薬剤はどれか。1つ選べ。

  1. クラリスロマイシン
  2. エリスロマイシン
  3. メロペネム
  4. リファンピシン
  5. レボフロキサシン

3.投与期間

1)内科系

問.抗菌薬の投与期間について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. A群溶血性連鎖球菌による急性扁桃炎・・・3日間
  2. 肺炎球菌による肺炎・・・・・・・・・・・解熱後14日間
  3. 黄色ブドウ球菌による感染性心内膜炎・・・6週間
  4. 髄膜炎菌による化膿性髄膜炎・・・・・・・7日間
  5. 感染巣が制御された胆管炎・・・・・・・・14日間

2)外科領域

問.外科領域における抗菌薬投与について正しいものを3つ選べ。

  1. 胃癌で、胃切除+リンパ節郭清を行った場合、術後感染予防抗菌薬は24時間以内に留める。
  2. 心臓手術では48時間、術後感染予防抗菌薬を投与する。
  3. 穿孔後24時間以内の十二指腸潰瘍手術での術後感染予防抗菌薬は24時間までとする。
  4. 腹腔内膿瘍ドレナージ後、菌陰性化まで抗菌薬は持続投与しなければならない。
  5. 手術創感染(切開創感染)に対し抗菌薬投与は必須である。

3)小児科

問.生後2カ月以降の細菌性髄膜炎の起炎菌として頻度の多いものはどれか。2つ選べ。

  1. Staphylococus aureus
  2. Streptococcus pneumoniae
  3. Escherichia coli
  4. Streptococcus agalactiae
  5. Haemophilus influenzae

4)尿路・性器・性感染症

問.単回投与(1日のみ)が有効な感染症と抗菌薬の組み合わせはどれか。1つ選べ。

  1. 急性膀胱炎とAMPC/CVA
  2. 急性膀胱炎とLVFX
  3. 非淋菌性尿道炎とDOXY
  4. 淋菌性尿道炎とCTRX
  5. 淋菌性尿道炎とAZM(1g)

解答

1.抗菌薬選択
 1)(1)
 2)(5)
2.投与量設定と投与方法
 1)(2)、(3)
 2)(4)
3.投与期間
 1)(3)、(4)
 2)(1)、(2)、(3)
 3)(2)、(5)
 4)(4)

最終更新日:2022年1月11日
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