日本化学療法学会

委員会報告・ガイドライン

尿路・性器より検出されるMycoplasma genitaliumの薬剤耐性遺伝子変異の全国サーベイランス

(2018年9月18日 掲載)

岐阜大学大学院医学系研究科病態制御学講座泌尿器科学分野教授:出口 隆
岐阜大学医学部附属病院泌尿器科講師:安田 満
あいクリニック院長:伊藤 晋
公益社団法人日本化学療法学会理事長:清田 浩

はじめに

 Mycoplasma genitaliumは、男子非淋菌性尿道炎の起炎菌であるだけでなく男女の性器感染症に関与している。近年、M. genitalium感染症においてキノロン薬およびマクロライド薬による治療失敗例が報告されている。しかし、M. genitaliumの臨床検体からの分離培養が極めて困難なことからM. genitaliumの薬剤感受性試験はほとんど行われていない。われわれは仙台の1つのクリニックを受診した少数例の患者から得られたM. genitaliumのDNA検体を用いてニューキノロン耐性に関わるgyrA遺伝子とparC遺伝子の変異とマクロライド耐性に関与する23S rRNA遺伝子の変異を検討してきた。しかし、日本各地から得られた検体による全国規模での検討は行われていない。日本におけるM. genitaliumの薬剤耐性の現状を明らかにするために、日本の各地から得られた比較的多数例でのM. genitaliumの薬剤耐性遺伝子変異を検討することは、尿道炎治療の今後の指針を検討するに当たり意義があることと考えた。

最終更新日:2018年9月14日
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