日本化学療法学会

委員会報告・ガイドライン

JAID/JSC感染症治療ガイドライン2016―歯性感染症―

論文名

JAID/JSC感染症治療ガイドライン2016―歯性感染症―

委員会

一般社団法人日本感染症学会、公益社団法人日本化学療法学会
JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会
歯性感染症ワーキンググループ

  • 委員長
    金子明寛
  • 委員
    青木隆幸、池田文昭、川辺良一、佐藤田鶴子、津村直幹

緒言

 一般社団法人日本感染症学会と公益社団法人日本化学療法学会ではJAID/JSC感染症治療ガイド2011を刊行した。JAID/JSC感染症治療ガイド2011には歯性感染症の項はなく、2014年改訂JAID/JSC感染症治療ガイド2014に初めて掲載された。
 現在の医療環境はさまざまな耐性菌の出現により方針転換をせまられているが、歯性感染症領域においても例外ではない。JAID/JSC感染症治療ガイド2014に掲載が必要であった背景として、医療環境における耐性菌の蔓延があげられる。すなわち歯科外来で最も多く使用されている第三世代経口セフェム系薬の再考があげられる。歯性感染症の主たる原因菌であるPrevotella属は、β-ラクタマーゼを産生し、ペニシリン系薬および第三世代セフェム系薬を分解するがβ-ラクタマーゼ阻害薬に酵素活性が阻害される。口腔レンサ球菌および嫌気性菌を標的菌とする歯性感染症治療にはペニシリン系薬およびβ-ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬を第一選択とすることが抗菌薬の適正使用につながると考えられ、JAID/JSC感染症治療ガイド2014に歯性感染症項目が掲載された。今回感染症治療ガイドの行間を補充し、より解りやすく解説するために、ガイドラインとしてここに再構成することとした。
 本ガイドラインが広く浸透し、わが国の歯性感染症治療および教育に広く活用され、歯性感染症診療の向上および耐性菌増加を防止し国民の健康に貢献できるものと期待している。
 最後に本ガイドライン作成にあたって多大な労力と時間を費やしご尽力いただいた委員の先生方と事務局の方々に心から深く感謝する。

JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2016―歯性感染症―(PDF 286 KB)

日本化学療法学会雑誌 Vol. 64, 2016年4号(7月) p.641~646

最終更新日:2016年7月13日
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