日本化学療法学会

委員会報告・ガイドライン

JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症―

論文名

JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症―

委員会

一般社団法人日本感染症学会、公益社団法人日本化学療法学会
JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会
尿路感染症・男性性器感染症ワーキンググループ

  • 委員長
    清田 浩
  • 委員
    山本新吾、石川清仁、速見浩士、中村匡宏、宮入 烈
    星野 直、蓮井正史、田中一志、荒川創一

緒言

 現在の医療環境はさまざまな耐性菌の出現により方針転換をせまられているが、尿路・性器感染症領域においても例外ではない。従来はグラム陰性桿菌を中心とした腸内細菌に有効な抗菌薬を選択していれば大きな間違いはなかったが、最近ではキノロン耐性大腸菌、ESBL産生菌、多剤耐性緑膿菌のみならずカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の報告も多数あり、院内感染対策などの強化が望まれている。またこれらの耐性菌は院内感染にとどまらず市中感染として日常的に認められるようになってきていることも危惧すべき事態と言わざるをえない。このような耐性菌の蔓延を引き起こした原因は従来の不徹底な感染対策と抗菌薬濫用によるものに他ならず、医療従事者には“Collateral damage”を意識した適正な抗菌薬使用が強く求められている。
 日本感染症学会・日本化学療法学会は抗菌薬適正使用の指針を示すために2012年にJAID/JSC感染症治療ガイド2011を発刊し、さらに2014年に改訂版JAID/JSC感染症治療ガイド2014を刊行した。感染症治療ガイドはポケット版として取り扱いやすく簡便に要約されてはいるが、紙面が限られているためその指針の真意を十分に解説することが困難である。そのためその指針の行間を補充し、より解りやすく解説するために、ガイドラインとしてここに再構成することとした。これらの指針の背景とエビデンスの真意と限界とが十分に理解されることによって、実地医療者にとってこのガイドラインが柔軟な抗菌薬適正使用の一助となれば幸いである。また、新規の耐性菌の出現や蔓延が報告されている現状において時代にそぐわないものになっていく可能性があるため、数年ごとに逐次改訂ををしていく予定である。

JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症―(PDF 517 KB)

日本化学療法学会雑誌 Vol. 64, 2016年1号(1月) p.1~30

新生児投与量及び抗菌薬略語一覧(PDF 430 KB)

日本化学療法学会雑誌 Vol. 64, 2016年1号(1月) p.63~65

最終更新日:2016年2月1日
このページの先頭へ