日本化学療法学会

委員会報告・ガイドライン

コリスチンの感受性判定における感受性自動検査機器の測定精度について

平成28年8月12日

「コリスチンの適正使用に関する指針」作成委員会
委員長 二木芳人

本邦での汎用度の高い一部の薬剤感受性測定機器において、コリスチンのMIC値が、E testや本学会標準法であるAgar dilution法に比べて高値を示し、感受性のある菌株の一部で耐性と判定されることが知られています1)。最近の学会でもこの点を指摘した発表が散見されます2)

コリスチンの臨床的な重要性と位置付けに鑑み、MDRAおよびMDRPに対し一部の薬剤感受性測定機器で感受性検査を行った際に耐性の判定となった場合には、E testもしくはAgar dilution法など他の検査での判定を併せて検討すべきと考えられます。

なお、マイクロスキャンWalkawayの製品説明書3)においても、コリスチンに対するAcinetobacter baumaniiおよびP. aeruginosaの耐性の検出能については注意喚起が記載されております。

1)Lee SY et al. J Clin Microbiol, 2013 Jun; 51(6): 1924-6
2)筒井ら:厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業 検査部門におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌と アシネトバクター属・緑膿菌のコリスチン耐性率集計における問題点。第27回日本臨床微生物学会総会・学術集会
3)マイクロスキャン用培養同定・一般細菌キット(マイクロスキャン Neg シリーズ)添付文書

最終更新日:2016年8月23日
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