日本化学療法学会

委員会報告・ガイドライン

『コリスチンの適正使用に関する指針』(英語名:Practical guide for appropriate use of colistin)

論文名

コリスチンの適正使用に関する指針(英語名:Practical guide for appropriate use of colistin)

委員会

コリスチンの適正使用に関する指針作成委員会

  • 委員長
    二木 芳人(昭和大学医学部臨床感染症学)
  • 委員
    舘田 一博(東邦大学医学部微生物・感染症学講座)
    藤村  茂(東北薬科大学薬学部臨床感染症学)
    堀  誠治(東京慈恵会医科大学感染制御部)
    三鴨 廣繁(愛知医科大学大学院医学研究科感染制御学)
    栁原 克紀(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・診断学分野)
    吉田耕一郎(近畿大学医学部附属病院安全管理部感染対策室)

コリスチンの適正使用に関する指針

 近年、わが国でもアシネトバクター属菌や緑膿菌などの多剤耐性グラム陰性桿菌による院内感染症の発生が社会的な話題となり、その治療薬の一つとして諸外国では一般に使用されているコリスチンのわが国における再承認を求める声が高まっています。一部の医療施設では個人輸入によるコリスチンの備蓄を行い、緊急事態に備える動きもみられています。そのような状況を考え、日本化学療法学会ではコリスチンを必要性の高い未承認薬の一つとして、アンケートによる各施設での備蓄あるいは使用実態調査を行い、その必要性を訴えてまいりました。幸い、規制当局もこれに同調し、開発企業の公募を行った結果、グラクソ・スミスクライン株式会社がこれに呼応し、わが国での再開発は急ピッチに進み、当初2010年中にも申請、承認が予定されておりました。当局からは、これに合わせて安全性や耐性化の問題が懸念されることから、その安全な使用のための指針を学会で作成するようにとの依頼があり、本指針を作成するべく委員会が立ち上げられ、2010年12月より活動を開始しました。その過程において、諸事情から申請が遅れ、臨床応用には今しばらくの時間を要することが明らかになりました。しかし、この間にも現実には個人輸入などでコリスチンが使用される例があると考え、そのための指針として本指針の完成を急ぎました。コリスチンは永い使用経験があるものの古い薬であるために、現在では当然求められるPK-PD解析や他剤との比較試験などの臨床的エビデンスが十分とはいえず、現在得られる可能な限りの情報を収集して作成しましたが、今後も継続して見直しや改定が必要と考えています。本指針は2012年春に完成し、日本化学療法学会の理事会の承認をいただき、引き続きコリスチンの使用経験をお持ちの諸先輩方にも個別にご意見とご指導をいただき、修正を加えました。ご指導をいただいた先生方には改めてお礼を申し上げます。さらに4月には学会のホームページ上でパブリックコメントを募集したのち、2012年4月に完成としました。長崎で開催された第60回日本化学療法学会学術集会での委員会報告を経て、ここに委員会報告として誌上に公表するものです。

コリスチンの適正使用に関する指針作成委員会
委員長 二木 芳人(昭和大学医学部臨床感染症学講座)

コリスチンの適正使用に関する指針
(英語名:Practical guide for appropriate use of colistin)
(PDF 877KB)

日本化学療法学会雑誌 Vol. 60, 2012年4号(7月) p.446~468

最終更新日:2014年3月20日
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