日本化学療法学会

委員会報告・ガイドライン

日本化学療法学会抗真菌薬臨床評価委員会 指針

論文名

日本化学療法学会抗真菌薬臨床評価委員会 指針

委員会

抗真菌薬臨床評価委員会

  • 委員長
    河野  茂(長崎大学病院第二内科)
  • 委員
    網谷 良一(大阪赤十字病院呼吸器内科)
    亀井 克彦(千葉大学真菌医学研究センター臨床感染症分野)
    二木 芳人(昭和大学医学部臨床感染症学)
    宮﨑 義継(国立感染症研究所生物活性物質部)
    掛屋  弘(長崎大学病院第二内科)
    吉田  稔(帝京大学医学部附属溝口病院第4内科)
    岡  慎一(国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)
    木内 哲也(名古屋大学大学院医学系研究科移植外科学)
    竹末 芳生(兵庫医科大学感染制御学)
    三鴨 廣繁(愛知医科大学感染制御学)
    村瀬 年宣(アステラス製薬株式会社臨床管理部)
    下河 恵子(ヤンセンファーマ株式会社感染症・腫瘍マーケティング部)
    白沢 博満(ファイザー株式会社)
    中條 英司(大日本住友製薬株式会社大阪総合センター市販後調査部)
  • 顧問
    山口 英世(帝京大学医真菌研究センター)
    正岡  徹(大阪府立成人病センター)

抗真菌薬臨床評価委員会 指針 最終報告(確定版)について

 移植医療の発展や高齢化、また新しい病原真菌の報告などに伴い、深在性真菌症患者の治療を行う機会が増えてきています。新規の抗真菌薬の開発は抗菌薬に比較してもさらに限られていますが、現在まで新規の抗真菌薬開発の臨床評価にかかわる指針はなく、過去の抗真菌薬開発時には薬剤ごとに各開発メーカー独自の評価が行われていました。背景には、深在性真菌症は診断が難しく、宿主の状態が不良なために確定診断は難しいという事情もありましたが、近年ガイドラインの普及などで宿主の状態に画像診断や血清診断を組み合わせて総合的に判断することで、診断を行うというコンセンサスも得られてきています。そのため抗真菌薬の開発にも一定の指針を示す下地ができあがってきました。

 公益社団法人 日本化学療法学会抗真菌薬臨床評価委員会は、抗真菌薬の特殊性に鑑み抗真菌薬が開発される際に、日本化学療法学会としての指針を示すべく組織されました。委員会には、血液領域や呼吸器領域、一般外科領域、産婦人科領域、臓器移植、HIV領域、基礎領域、製薬開発など種々の領域から専門家を選出し、各専門領域における特殊事情が指針策定に反映されることを意図して組織されました。今回の指針は、あくまで製薬企業が行う新薬開発に焦点を絞ったものであり、医師主導の臨床試験を念頭に置いたものではありません。

 2005年3月第1回の委員会が開催されてから定期的に会議を重ねる経過中いくつかの新薬が開発され、また新しいガイドラインも発表されたために修正が求められたことなどから長い年月を費やしましたが、ここに最終案を提示することができました。2011年5月~同年6月末の間に本学会ホームページに掲示し、パブリックコメントを募集、寄せられた貴重な意見をもとに一部修正し、日本化学療法学会抗真菌薬臨床評価委員会報告書としましたのでここにご報告申し上げます。長期間にわたりご協力いただきました会員の皆さまおよび、ご指導賜りました諸先生方に心より感謝申し上げます。本指針がわが国の抗真菌薬の開発に広く活用され、ひいては多くの患者さんの利益に帰することを願うものであります。

2012年3月

抗真菌薬臨床評価委員会
委員長 河野  茂(長崎大学病院)

日本化学療法学会抗真菌薬臨床評価委員会 指針(PDF 266KB)

日本化学療法学会雑誌 Vol. 60, 2012年3号(5月) p.347~353

最終更新日:2014年3月20日
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