日本化学療法学会

委員会報告・ガイドライン

高用量メロペネム検討部会『メロペネムの1日用量に関するアンケート調査結果』

論文名

メロペネムの1日用量に関するアンケート調査結果

委員会

日本化学療法学会未承認薬検討委員会
高用量メロペネム検討部会

委員長:
 三鴨 廣繁(愛知医科大学大学院医学研究科感染制御学)
委員:
 三笠 桂一(奈良県立医科大学感染症センター)
 岩田  敏(慶應義塾大学感染制御センター)
 栁原 克紀(長崎大学病院検査部)

要旨

 Meropenem(MEPM)の承認1日最大用量は、欧米において重症・難治性感染症に対して3gであるが、2011年3月10日まで本邦においては2gであった。今回、「MEPMの実臨床の場における使用実態」、「承認1日最大用量の増量の必要性」、「1日最大用量が増量された場合の処方意向の変化」について日本化学療法学会会員かつInfection control doctor(ICD)認定医が勤務する2,653施設を対象に調査した。
 その結果、450施設(回答率17.0%)から有効回答を得た。MEPMの高用量は、脳膿瘍や化膿性髄膜炎を中心に発熱性好中球減少症および骨髄炎等に処方され、有効回答数の27.8%がアンケート実施時の承認用量である2g/日を超えて処方されている実態が確認された。また、その傾向は200床以上の施設に勤務する医師およびICD認定医ほど高い結果が確認された。MEPMの高用量投与の必要性については51.2%が必要であると回答し、高用量が承認された場合、重症・難治性感染症を対象に高用量投与が行われる可能性が示唆された。PK-PD理論に基づいた十分量投与の観点からも、MEPMの1日用量上限を拡大することにより、重症・難治性感染症に対する有効性の向上が期待できる。
 実臨床の場におけるニーズに応えるべく、2011年3月に重症・難治性感染症に対しては、諸外国と同様に、1日最大3g投与が行えるようになった。今後はどのような感染症に3g/日投与が必要かに関して今回作成した指針を検証しつつ、化膿性髄膜炎等に対しては6g/日投与が行えるよう関連団体協力のもと早期承認が得られるよう期待する。

メロペネムの1日用量に関するアンケート調査結果(PDF 411KB)

日本化学療法学会雑誌 Vol. 60, 2012年2号(3月) p.198~209

最終更新日:2014年3月20日
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