日本化学療法学会

委員会報告・ガイドライン

―呼吸器及び尿路感染症におけるブレイクポイント:新規抗菌薬の追加(2023)―

(2023年7月11日 掲載)

三学会合同ブレイクポイント臨床応用検討委員会

委員長
 平松 和史(大分大学医学部医療安全管理医学講座)
担当理事
 松元 一明(慶應義塾大学薬学部薬効解析学講座)
委員
 青木弘太郎(東邦大学医学部微生物・感染症学講座)
 荒岡 秀樹(虎の門病院臨床感染症科)
 猪川 和朗(広島大学大学院医歯薬保健学研究院臨床薬物治療学)
 石井 良和(東邦大学医学部微生物・感染症学講座)
 大塚 喜人(亀田総合病院臨床検査部)
 大谷真理子(東邦大学医療センター大森病院薬剤部)
 柴山 恵吾(名古屋大学大学院医学系研究科基礎医学領域微生物・免疫学講座)
 舘田 一博(東邦大学医学部微生物・感染症学講座)
 松永 直久(帝京大学医学部附属病院感染制御部)
協力委員
 冨山 直樹(株式会社ミルキーファーマシー)

はじめに

 日本化学療法学会ではこれまでに呼吸器感染症、尿路感染症、敗血症における臨床的なブレイクポイントを設定してきた(Chemotherapy 42:906-914,1994,日本化学療法学会雑誌 45:712-726,1997,日本化学療法学会雑誌 45:757-761,1997,日本化学療法学会雑誌 53:557-559,2005,日本化学療法学会雑誌 57:343-345,2009)。これまで日本化学療法学会の抗菌薬感受性測定・臨床評価委員会や抗菌薬ブレイクポイント委員会においてブレイクポイントの検討を行ってきたが、2012年より日本化学療法学会ブレイクポイント臨床応用検討委員会と名称を変更し、本学会のブレイクポイントが一層使用されやすいようにする方策を含めて議論を行ってきた。さらに2013年からは日本化学療法学会だけでなく、日本感染症学会と日本臨床微生物学会も加わり、三学会合同の委員会として検討を行ってきた。
 前回の委員会報告以降10年以上が経過し、新規抗菌薬や投与量、投与法が見直された薬剤が多く上市されている。今回フルオロキノロン系薬について検討を行い、5薬剤の臨床的ブレイクポイントを設定した。呼吸器感染症については臨床試験での体内動態成績等から臨床的ブレイクポイントの理論値を算出した(Chemotherapy 42:906-914,1994)。さらに臨床試験時の原因菌の感受性結果と臨床効果のデータから計算式で得られたブレイクポイント理論値の妥当性を検証した。さらにPK/PDデータから得られた有効性が期待できるMIC値を算出し、理論値との整合性についても検討を行った。尿路感染症についてもこれまで用いられてきた計算式(日本化学療法学会雑誌 45:712-726,1997)を用いて理論値を算出し、その妥当性について検証した。
 本ブレイクポイントは2023年4月に暫定案としてホームページ上に公表し、会員より寄せられたパブリックコメントを反映して報告するものである。

―呼吸器及び尿路感染症におけるブレイクポイント:新規抗菌薬の追加(2023)―(PDF 232KB)

日本化学療法学会雑誌 Vol. 71, 2023年4号(7月) p.349~351

最終更新日:2023年7月24日
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