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学会概要・学会賞

利益相反(COI)

利益相反(COI)指針・細則の改定について

 日本化学療法学会は、平成24年4月から、本学会が会員などの利益相反状態(COI)を適切にマネージメントすることにより、研究成果の発表やそれらの普及・啓発などの活動を中立性と公明性を維持した状態で適正に推進させ、化学療法学に含まれる疾患の予防・診断・治療の進歩に貢献することを目的としCOI指針および細則を制定し適正な研究活動啓発を行ってきました。しかしながら近年、臨床試験疑惑により複数論文の撤回に至る事案が発生したことにより、医学研究における質と信頼性を回復するための産学連携のあり方が議論され、産学連携のより明確な方針が要求されるに至りました。日本医学会は、このようなCOI開示に関して問題となった事例や社会的背景を考慮して、「医学研究のCOIマネジメントに関するガイドライン」に改訂を重ね、内容を一部変更した最新版を平成27年3月に公表しました。
 これを受け、日本化学療法学会はCOI規定に関して、日本医学会のCOIガイドラインとの整合性を図り、より明確な方針を策定するために、従来のCOI共通指針と細則の一部を変更することといたしました。これにより産学連携による医学研究の透明性をより高いものとするとともに、医学研究を一層推進させて行きたいと考えております。日本化学療法学会会員諸氏におかれましてはCOI開示の重要性をご理解いただき、ご協力のほど何卒宜しくお願い申し上げます。

公益社団法人日本化学療法学会
利益相反委員会
委員長 河合  伸

利益相反(COI)指針・細則の改定内容(PDFファイル 100KB)

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COI自己申告の基準について

 COI自己申告が必要な金額は、以下のごとく、各々の開示すべき事項について基準を定めるものとする。

  1. 医学研究に関連する企業・法人組織や営利を目的とした団体(以下、企業・組織や団体という)の役員、顧問職については、1つの企業・組織や団体からの報酬額が年間100万円以上とする。
  2. 株式の保有については、1つの企業についての1年間の株式による利益(配当、売却益の総和)が100万円以上の場合、あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合とする。
  3. 企業・組織や団体からの特許権使用料については、1つの権利使用料が年間100万円以上の場合とする。
  4. 企業・組織や団体から、会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)については、1つの企業・団体からの年間の講演料が合計50万円以上の場合とする。
  5. 企業・組織や団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料については、1つの企業・組織や団体からの年間の原稿料が合計50万円以上の場合とする。
  6. 企業・組織や団体が提供する研究費については、1つの企業・団体から医学研究(受託研究費、共同研究費など)に対して支払われた総額が年間100万円以上とする。
  7. 企業・組織や団体が提供する奨学(奨励)寄付金については、1つの企業・組織や団体から、申告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)あるいは研究室の代表者に支払われた総額が年間100万円以上の場合とする。
  8. 企業・組織や団体が提供する寄付講座に申告者らが所属している場合とする。
  9. その他、研究とは直接無関係な旅行、贈答品などの提供については、1つの企業・組織や団体から受けた総額が年間5万円以上の場合とする。

 但し、6、7については、筆頭発表者個人か、筆頭発表者が所属する部局(講座、分野)あるいは研究室などへ研究成果の発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業や団体などからの研究経費、奨学寄付金などの提供があった場合に申告する必要がある。

第2条(COI自己申告の基準について)はこちらをご覧ください

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公益社団法人日本化学療法学会医学研究の利益相反に関する指針

序文

 公益社団法人日本化学療法学会(以下日本化学療法学会)は、化学療法学に関する学理およびその応用についての研究発表、知識の交換、会員相互および内外の関連学会との連帯協力を行うことにより、化学療法学の進歩、普及を図り、もって我が国の学術の発展に寄与することを目的としている。
 我が国では、科学技術創造立国を目指して1995年に科学技術基本法を制定、1996年に「科学技術基本計画」が策定され、国家戦略として産学の連携活動が強化されてきた。20世紀後半から21世紀にかけての医学、医療の進歩はめざましく、医学における研究対象も個体から、臓器、細胞、分子へと移り、さらに遺伝子異常と疾患との関連、再生医学への発展などと、それらを基に未知の病態の解明とともに、創薬への応用、そしてまったく新しい概念に基づく治療法、予防法の開発にも応用されている。医学研究における成果を社会、患者に適切に還元していくことは、我が国の国民が安心・安全・快適な生活を享受するうえで極めて重要であると同時に、教育・研究の活性化や経済の活性化を図るうえでも大きな意義をもつことは言うまでもない。
 日本化学療法学会が主催する学術講演会や刊行物などで発表される研究成果には、各種の疾患を対象とした診断・治療・予防法開発のための臨床研究や、新規の医薬品・医療機器・医療技術を用いた臨床研究が数多く含まれており、その推進には製薬企業、ベンチャー企業などとの産学連携活動(共同研究、受託研究、技術移転・指導、奨学寄付金、寄付講座など)が大きな基盤となっている。
 一方、産学連携による医学研究(基礎研究、臨床研究、臨床試験)が盛んになればなるほど、公的な存在である大学や研究機関、学術団体などが特定の企業の活動に深く関与し、その結果、教育、研究という学術機関、学術団体としての責任と、産学連携活動に伴い生じる個人が得る利益と衝突・相反する状態が必然的・不可避的に発生する。こうした状態が「利益相反(conflict of interest:COI)」と呼ばれるものであり、この利益相反状態を学術機関・団体が組織として適切に管理していくことが、産学連携活動を適切に推進するうえで重要な課題となっている。中でも臨床研究に関しては、それに関わるものにとって、資金および利益供給者となる企業組織、団体などとの利益相反が深刻になればなるほど、被験者の人権や生命の安全・安心が損なわれることが起こりうるし、研究の方法、データの解析、結果の解釈が歪められるおそれも生じる。また適切な研究成果であるにもかかわらず、公正な評価や発表がされないことも起こりうる。しかし過去の集積事例の多くは利益相反状態そのものに問題があったのではなくそれを適切にマネージメントしていなかったことに問題があると指摘されている。近年、国内外において多くの医学系施設や学術団体は臨床研究の公正・公平さの維持、学会発表での透明性、かつ社会的信頼を保持しつつ産学連携による臨床研究の適正な推進を図るために、臨床研究における利益相反指針を作成しており、適切なCOIマネージメントによって正当な研究成果を社会へ還元するための努力が重ねられている。
 本学会におけるCOIマネージメントの考え方は、1)研究機関及び研究者は、産学連携にかかる医学研究の実施に関して医学性、倫理性、科学性の担保を前提に、利害関係にある企業、法人組織、団体からの外部資金(寄附金、研究助成金、契約による研究費等)、医薬品・機器、及び役務等の提供を公正にかつ適正に受け入れる。2)当該研究成果の質と信頼性を確保するために、提供された内容等の詳細情報をもとに予め管理し、臨床研究実施計画書、COI申告書および論文に適切に記載し公開する。3)第三者から疑義を指摘されれば、説明責任を果たすことを基本とする。
 当学会においては、本学会における会員などに学会事業での発表などで利益相反状態にある資金提供者との経済的な関係を一定要件のもとに開示させることにより、会員などの利益相反状態を適正にマネージメントし、社会に対する説明責任を果たすために利益相反指針を策定する。

I.目的

 人間を対象とする医学研究の倫理的原則については、すでに、「ヘルシンキ宣言」や「臨床研究の倫理指針(厚生労働省告示第255号、2008年度改定)」において述べられているが、被験者の人権・生命を守り、安全に実施することに格別な配慮が求められる。
 本学会は、その活動において社会的責任と高度な論理性が要求されていることに鑑み、「医学研究の利益相反(COI)に関する指針」(以下、本指針と略す)を策定する。本指針の目的は、本学会が会員などの利益相反状態を適切にマネージメントすることにより、研究成果の発表やそれらの普及・啓発などの活動を中立性と公明性を維持した状態で適正に推進させ、化学療法学に含まれる疾患の予防・診断・治療の進歩に貢献することにより高い社会的責務を果たすことにある。したがって、本指針では、会員などに対して利益相反についての基本的な考えを示し、本学会の会員などが各種事業に参加し発表する場合、自らの利益相反状態を自己申告によって適切に開示し、本指針を遵守することを求める。

II.対象者

 利益相反状態が生じる可能性がある以下の対象者に対し、本指針が適用される。
(1)本学会会員
(2)本学会の学術講演会などで発表する者
(3)本学会の役員(理事長、理事、監事)、学術講演会担当責任者(会長など)、各種委員会の委員長、特定の委員会(学術集会運営委員会、学会誌編集委員会、倫理・医療安全委員会、利益相反委員会など)委員、暫定的な作業部会(小委員会、ワーキンググループなど)の委員
(4)本学会の事務職員
(5)(1)~(4)の対象者の配偶者、一親等の親族、または収入・財産を共有する者

III.対象となる活動

 本学会が行うすべての事業に対して本指針を適用する。
(1)学術講演会(年次総会含む)、支部主催学術講演会などの開催
(2)学術機関誌、学術図書などの発行
(3)研究および調査の実施
(4)研究の奨励および研究事業の表彰
(5)認定医および認定施設の認定
(6)生涯学習活動の推進
(7)関連学術団体との連絡および協力
(8)国際的な研究協力の推進
(9)その他目的を達成するために必要な事業
当該研究のデザイン・企画、データ収集、管理および統計解析などに人的な支援を受ければ、発表の際にすべての情報を論文の中に適切に開示、公開しなければならない。
特に、下記の活動を行う場合には、特段の指針遵守が求められる。
 ①本学会が主催する学術講演会など(以下、講演会など)での発表
 ②学会機関誌などの刊行物での発表
 ③診療ガイドライン、マニュアルなどの策定
 ④臨時に設置される調査委員会、諮問委員会などでの作業

IV.申告すべき事項

 対象者は、個人における以下の(1)~(9)の事項で、細則で定める基準を超える場合には、その正確な状況を本学会理事長に申告するものとする。なお、申告された内容の具体的な開示、公開の方法については別に細則で定める。
(1)企業・法人組織、営利を目的とする団体の役員、顧問職、社員などへの就任
(2)企業の株の保有
(3)企業・法人組織、営利を目的とする団体からの特許権などの使用料
(4)企業・法人組織、営利を目的とする団体から、会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)
(5)企業・法人組織、営利を目的とする団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料
(6)企業・法人組織、営利を目的とする団体が提供する臨床研究費(治験、臨床試験費など)
(7)企業・法人組織、営利を目的とする団体が提供する研究費(受託研究、共同研究、寄付金など)
(8)企業・法人組織、営利を目的とする団体が資金提供者となる寄付講座
(9)その他、上記以外の旅費(学会参加など)や贈答品などの受領

V.利益相反状態との関係で回避すべき事項

1.対象者の全てが回避すべきこと
 医学研究の結果の公表や診療ガイドラインの策定などは、純粋に科学的な根拠と判断、あるいは公共の利益に基づいて行われるべきである。本学会の会員などは、医学研究の結果とその解釈といった公表内容や、医学研究での科学的な根拠に基づく診療(診断、治療)ガイドライン・マニュアルなどの作成について、その医学研究の資金提供者・企業の恣意的な意図に影響されてはならず、また影響を避けられないような契約を資金提供者などと締結してはならない。
2.医学研究の試験責任者が回避すべきこと
 医学研究(臨床試験、治験を含む)の計画・実施に決定権を持つ総括責任者には、次の項目に関して重大な利益相反状態にない(依頼者との関係が少ない)と社会的に評価される研究者が選出されるべきであり、また選出後もその状態を維持すべきである。
(1)医学研究を依頼する企業の株の保有
(2)医学研究の結果から得られる製品・技術の特許料・特許権などの獲得
(3)医学研究を依頼する企業や営利を目的とした団体の役員、理事、顧問など(無償の科学的な顧問は除く)
 但し、(1)~(3)に該当する研究者であっても、当該医学研究を計画・実行するうえで必要不可欠の人材であり、かつ当該臨床研究が医学的に極めて重要な意義をもつような場合には、その判断と措置の公平性、公正性および透明性が明確に担保されるかぎり、当該医学研究の試験責任医師に就任することができる。

VI.実施方法

1.会員の責務
 会員は医学研究成果を学術講演などで発表する場合、当該研究実施に関わる利益相反状態を発表時に、本学会の細則にしたがい、所定の書式で適切に開示するものとする。研究などの発表との関係で、本指針に反するとの指摘がなされた場合には、理事会は利益相反を管轄する委員会(以下、利益相反委員会と略す)に審議を求め、その答申に基づき、妥当な措置方法を講ずる。
2.役員などの責務
 本学会の役員(理事長、理事、監事)、学術講演会担当責任者(会長など)、各種委員会委員長、特定の委員会委員、および作業部会の委員は本学会に関わるすべての事業活動に対して重要な役割と責務を担っており、当該事業に関わる利益相反状況については、就任した時点で所定の書式にしたがい自己申告を行うものとする。 また、就任後、新たに利益相反状態が発生した場合には規定にしたがい、修正申告を行うものとする。
3.利益相反委員会の役割
 利益相反委員会は、本学会が行うすべての事業において、重大な利益相反状態が会員に生じた場合、あるいは、利益相反の自己申告が不適切で疑義があると指摘された場合、当該会員の利益相反状態をマネージメントするためにヒアリングなどの調査を行い、その結果を理事長に答申する。
4.理事会の役割
 理事会は、役員などが本学会の事業を遂行するうえで、重大な利益相反状態が生じた場合、あるいは利益相反の自己申告が不適切であると認めた場合、利益相反委員会に諮問し、答申に基づいて改善措置などを指示することができる。
5.学術講演会担当責任者の役割
 学術講演会の担当責任者(会長など)は、学会で医学研究の成果が発表される場合には、その実施が本指針に沿ったものであることを検証し、本指針に反する演題については発表を差し止めるなどの措置を講ずることができる。この場合には、速やかに発表予定者に理由を付してその旨を通知する。なお、これらの措置の際に上記担当責任者は利益相反委員会に諮問し、その答申に基づいて改善措置などを指示することができる。
6.編集委員会の役割
 学会誌編集委員会は、学会機関誌などの刊行物で研究成果の原著論文、総説、診療ガイドライン、編集記事、意見などが発表される場合、著者には利害関係がある企業、法人組織、団体とのCOI状態の開示を求めなければならない。特に、介入研究結果の発表に際しては、資金、薬剤・機材、あるいは労務・薬液の形で医学研究の実施あるいは論文作成の過程で企業、法人組織、団体から支援を受けた場合、透明性を確保するために著者らにはそれぞれの役割を明記させなければならない。またその実施が本指針に沿ったものであることを検証し、本指針に反する場合には掲載を差し止めるなどの措置を講ずることができる。この場合、速やかに当該論文投稿者に理由を付してその旨を通知する。本指針に違反していたことが当該論文掲載後に判明した場合は、当該刊行物などに編集委員長名でその旨を公知することができる。なお、これらの措置の際に編集委員長は利益相反委員会に諮問し、その答申に基づいて改善措置などを指示することができる。
7.その他
 その他の委員長・委員は、それぞれが関与する学会事業に関して、その実施が本指針に沿ったものであることを検証し、本指針に反する事態が生じた場合には、速やかに事態の改善策を検討する。なお、これらの対処については利益相反委員会に諮問し、答申に基づいて理事会は改善措置などを指示することができる。

VII.指針違反者に対する措置と説明責任

1.指針違反者に対する措置
 本学会理事会は、別に定める規則により、本指針に違反する行為に関して審議する権限を有しており、倫理委員会(あるいは当該する委員会)に諮問し、答申を得たうえで、理事会で審議した結果、重大な指針違反があると判断した場合には、その違反の程度に応じて一定期間、次の措置の全てまたは一部を講ずることができる。
(1)本学会が開催するすべての講演会での発表禁止
(2)本学会の刊行物への論文掲載禁止
(3)本学会の講演会の会長就任禁止
(4)本学会の理事会、委員会、作業部会への参加禁止
(5)本学会の評議員の解任、あるいは評議員になることの禁止
(6)本学会委員会委員の資格停止、除名、あるいは入会の禁止
 指針違反者に対する措置が確定した場合、当該会員が所属する他の関連学会の長へ情報提供を行うものとする。
2.不服の申し立て
 被措置者は、本学会に対して不服申し立てをすることができる。本学会の理事長は、これを受理した場合、速やかに不服申し立て審議委員会(暫定諮問委員会)を設置して、審議を委ね、その答申を理事会で協議したうえで、その結果を不服申し立て者に通知する。
3.説明責任
 本学会は、自らが関与する場所で発表された医学研究の成果について、重大な本指針への違反があると判断した場合は、直ちに理事会の協議を経て社会に対する説明責任を果たさねばならない。

VIII.細則の制定

 日本化学療法学会は、本指針を運用するために必要な細則を制定することができる。

IX.指針の改正

 本指針は、社会的要因や産学連携に関する法令の改正、整備ならびに医療および研究をめぐる諸条件に適合させるためには、定期的に見直しを行い、改定することができる。

X.補則の制定

 日本化学療法学会は、学会の独自性、特殊性を勘案して、本指針を実際に運用するために必要な補則を制定することができる。

XI.施行日

 本指針は平成24年4月施行とする。
 本指針は平成25年2月に改訂し、平成25年4月より施行する。
 本指針は平成27年5月8日に改定し、平成27年7月1日より施行する。

<臨床研究の利益相反(COI)に関する指針作成委員会>
河合  伸(杏林大学)
荒川 創一(神戸大学)
門田 淳一(大分大学)
二木 芳人(昭和大学)
清田  浩(東京慈恵会医科大学)
松本 哲哉(東京医科大学)
渡辺  彰(東北大学)

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公益社団法人日本化学療法学会 医学研究の利益相反に関する指針の細則

 公益社団法人日本化学療法学会(以下、本学会)は、化学療法学に関する学理及びその応用についての研究発表、知識の交換、会員相互及び内外の関連学会との連帯協力を行うことにより、化学療法学の進歩普及を図り、もってわが国の学術の発展に寄与することを目的としている。事業内容としては、定期的な学術講演会の開催、研究発表会、講演会等の開催、学会機関誌及びその他の刊行物の発行、専門医等の認定、研究の奨励及び研究業績の表彰、関連学術団体との連絡及び協力、国際的な研究協力の推進、一般市民向け啓発活動などがあり、学術及び社会活動を幅広く行っている。
本学会会員等の利益相反状態を公正に管理するために、その細則を次のとおり定める。

第1条(本学会講演会などにおけるCOI事項の申告)

第1項
会員、非会員の別を問わず発表者は本学会が主催する学術講演会(年次総会・支部総会)などで医学研究に関する発表・講演を行う場合、筆頭発表者は、配偶者、一親等の親族、生計を共にする者も含めて、当該発表に際して、医学研究に関連する企業や営利を目的とした団体との経済的な関係について過去1年間におけるCOI状態の有無を、抄録登録時及び発表時に自己申告しなければならない。発表者が開示する義務のあるCOI状態は、発表内容に関連する企業や団体に関わるものに限定する。
発表者は該当するCOI状態について、発表スライドの最初(または演題・発表者などを紹介するスライドの次)に様式1-Aにより、あるいはポスターの最後に所定の様式1-Bにより開示するものとする。

第2項
「医学研究に関連する企業・法人組織、営利を目的とする団体」とは、医学研究に関し次のような関係をもった企業・組織や団体とする。
(1)医学研究を依頼し、または、共同で行った関係(有償無償を問わない)
(2)医学研究において評価される療法・薬剤、機器などに関連して特許権などの権利を共有している関係
(3)医学研究において使用される薬剤・機材などを無償もしくは特に有利な価格で提供している関係
(4)医学研究について研究助成・寄付などをしている関係
(5)医学研究において未承認の医薬品や医療機器などを提供している関係
(6)寄付講座などの資金提供者となっている関係

第3項
発表演題に関連する「医学研究」とは、医療における疾病の予防方法、診断方法および治療方法の改善、疾病原因および病態の理解ならびに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究であって、人間を対象とするものをいう。人間を対象とする医学系研究には、個人を特定できる人間由来の試料および個人を特定できるデータの研究を含むものとする。個人を特定できる試料またはデータにあたるかどうかは文部科学省・厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に定めるところによるものとする(平成26年12月22日公布、平成27年3月31日一部改訂)。

第2条(COI自己申告の基準について)

COI自己申告が必要な金額は、以下のごとく、各々の開示すべき事項について基準を定めるものとする。
(1)医学研究に関連する企業・法人組織や営利を目的とした団体(以下、企業・組織や団体という)の役員、顧問職については、1つの企業・組織や団体からの報酬額が年間100万円以上の場合とする。
(2)株式の保有については、1つの企業についての1年間の株式による利益(配当、売却益の総和)が100万円以上の場合、あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合とする。
(3)企業・組織や団体からの特許権使用料については、1つの権利使用料が年間100万円以上の場合とする。
(4)企業・組織や団体から、会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)については、1つの企業・団体からの年間の講演料が合計50万円以上の場合とする。
(5)企業・組織や団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料については、1つの企業・組織や団体からの年間の原稿料が合計50万円以上の場合とする。
(6)企業・組織や団体が提供する研究費については、1つの企業・団体から医学研究(受託研究費、共同研究費など)に対して支払われた総額が年間100万円以上とする。
(7)企業・組織や団体が提供する奨学(奨励)寄付金については、1つの企業・組織や団体から、申告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)あるいは研究室の代表者に支払われた総額が年間100万円以上の場合とする。
(8)企業・組織や団体が提供する寄付講座に申告者らが所属している場合とする。
(9)その他、研究とは直接無関係な旅行、贈答品などの提供については、1つの企業・組織や団体から受けた総額が年間5万円以上の場合とする。
 但し、(6)、(7)については、筆頭発表者個人か、筆頭発表者が所属する部局(講座、分野)あるいは研究室などへ研究成果の発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業や団体などからの研究経費、奨学寄付金などの提供があった場合に申告する必要がある。
上記の申告すべき項目のなかで、企業・法人組織・団体からの奨学寄附金の受け入れ先は、機関の長(学長か病院長)と講座・分野の長と大きく2つに分かれている。前者の場合、研究者個人との関わりはないと判断されがちだが、企業・法人組織・団体から機関の長を経由した形で奨学寄附金が発表者個人か、発表者が所属する部局(講座、分野)あるいは研究室へ配分されている場合にはその額を申告する必要がある。
次に、疑義が出やすい申告項目としては、企業からの寄附金などが非営利法人(例、NPO)や公益法人(例、財団)を介しての資金援助(受託研究費、研究助成費)とされる場合が該当するが、同様に自己申告する必要がある。資金援助金が高額であればあるほど研究成果の客観性や公平性が損なわれている印象を第三者に与えやすいことから、社会からの疑念や疑義が生じないようにするためにも関連企業からの研究支援が間接的にせよ、あると想定される場合には自らCOI自己申告をしておくことが望ましい。

第3条(本学会機関誌などにおける届出事項の公表)

本学会の機関誌(日本化学療法学会雑誌、Journal of Infection and Chemotherapy(JIC))などで発表を行う時、会員・非会員を問わず著者全員は、発表内容が本細則第1条第2項に規定された企業・組織や団体と経済的な関係を持っている場合、投稿時から遡って過去1年間以内におけるCOI状態を投稿規定に定める様式を用いて投稿時に編集委員会へ届け出なければならない。著者が開示する義務のあるCOI状態は、投稿内容に関連する企業や団体に関わるものに限定する。投稿時に明らかにするCOI状態は、「公益社団法人日本化学療法学会医学研究の利益相反に関する指針」の「IV.申告すべき事項」で定められたものを自己申告する。各々の開示すべき事項について、自己申告が必要な金額は第2条にしたがう。日本化学療法学会雑誌およびJIC以外の本学会刊行物での発表もこれに準じる。なお、届けられた自己申告書は論文査読者には開示しない。
日本化学療法学会雑誌:
1)自己申告すべき内容がない場合は、論文の末尾に、「利益相反自己申告:申告すべきものなし」と記載する。
2)自己申告すべき内容がある場合は、論文の末尾に以下の記載例の如く記載する。
(執筆者の記載例)
著者AはX株式会社から資金援助を受けている
著者BはX株式会社の社員である。
著者CはY株式会社の顧問である。
JIC:
「Conflict of Interest」の記載内容は、論文末尾、Referencesの前に掲載。規定されたCOI状態がない場合は、「None」などの文言が同部分に記載される。

第4条(役員、委員長、委員などのCOI申告書の提出)

第1項
本学会の役員(理事長、理事、監事)、学術講演会会長・次期会長、支部総会学術集会会長・次期会長、各種委員会のすべての委員長、特定の委員会(学会誌編集会議、ガイドライン策定に関わる委員会、利益相反委員会等)の委員、作業部会委員(WG)、学会の事務職員は、「公益社団法人日本化学療法学会医学研究の利益相反に関する指針」の「IV.申告すべき事項」について、就任時の前年1年間(1月1日~12月31日、以下同じ)におけるCOI状態の有無を所定の様式3にしたがい、新就任時と、就任後は1年ごとに、COI自己申告書を理事長へ提出しなければならない。但し、COIの自己申告は、本学会が行う事業に関連する企業・法人組織、営利を目的とする団体に関わるものに限定する。

第2項
様式3に記載するCOI状態については、「公益社団法人日本化学療法学会医学研究の利益相反に関する指針」の「IV.申告すべき事項」で定められたものを自己申告する。各々の開示・公開すべき事項について、自己申告が必要な金額は、第2条で規定された基準額とし、様式3にしたがい、項目ごとに金額区分を明記する。様式3は就任時の前年1年間分を記入し、その算出期間を明示する。但し、役員などは、在任中に新たなCOI状態が発生した場合には、8週以内に様式3を以て報告する義務を負うものとする。

第5条(COI自己申告書の取り扱い)

第1項
学会発表のための抄録登録時あるいは本学会雑誌への論文投稿時に提出されるCOI自己申告書は提出の日から2年間、理事長の監督下に法人の事務所で厳重に保管されなければならない。同様に、役員の任期を終了した者、委員委嘱の撤回が確定した者に関するCOI情報の書類なども、最終の任期満了、あるいは委員の委嘱撤回の日から2年間、理事長の監督下に法人の事務所で厳重に保管されなければならない。2年間の期間を経過したCOI自己申告書については、理事長の監督下において速やかに削除・廃棄される。但し、削除・廃棄することが適当でないと理事会が認めた場合には、必要な期間を定めて当該申告者のCOI情報の削除・廃棄を保留できるものとする。学術講演会(年次総会・支部総会)会長、に関するCOI情報に関しても役員の場合と同様の扱いとする。

第2項
本学会の理事長、利益相反委員会は、本細則にしたがい、提出された自己申告書をもとに、当該個人のCOI状態の有無・程度を判断し、本学会としてその判断にしたがったマネージメントならびに措置を講ずる場合、当該個人のCOI情報を随時利用できるものとする。しかし、利用目的に必要な限度を超えてはならず、また、上記の利用目的に照らし開示が必要とされる者以外の者に対して開示してはならない。

第3項
COI情報は、第5条第2項の場合を除き、原則として非公開とする。COI情報は、学会の活動、委員会の活動(附属の常設小委員会などの活動を含む)、臨時の委員会などの活動などに関して、本学会として社会的・道義的な説明責任を果たすために必要があるときは、理事会の協議を経て、必要な範囲で本学会の内外に開示もしくは公表することができる。但し、理事長は開示もしくは公表に関して、利益相反委員長の意見を聞くことができる。この場合、開示もしくは公開されるCOI情報の当事者は、理事長に意見を述べることができる。但し、開示もしくは公表について緊急性があって意見を聞く余裕がないときは、その限りではない。

第4項
特定の会員を指名しての開示請求(法的請求も含めて)があった場合、妥当と思われる理由があれば、理事長からの諮問を受けて利益相反委員会が個人情報の保護のもとに適切に対応する。しかし、利益相反委員会で対応できないと判断された場合には、理事長が指名する本学会会員若干名および外部委員1名以上により構成される利益相反調査委員会を設置して諮問する。特別な事情が無い限り利益相反調査委員会は開示請求書を受領してから60日以内に委員会を開催して可及的すみやかにその答申を行う。

第6条(利益相反委員会)

理事長が指名する本学会会員若干名および外部委員1名以上により、利益相反委員会を構成し、委員長は委員の互選により選出する。利益相反委員会委員は知り得た会員のCOI情報についての守秘義務を負う。利益相反委員会は、理事会と連携して、利益相反ポリシーならびに本細則に定めるところにより、会員のCOI状態が深刻な事態へと発展することを未然に防止するためのマネージメントと違反に対する対応を行う。委員にかかるCOI事項の報告ならびにCOI情報の取扱いについては、第5条の規定を準用する。

第7条(違反者に対する措置)

第1項
本学会の機関誌(日本化学療法学会雑誌、Journal of Infection and Chemotherapy)などで発表を行う著者、ならびに本学会講演会などの発表予定者によって提出されたCOI自己申告事項について、疑義もしくは社会的・道義的問題が発生した場合、本学会として社会的説明責任を果たすために利益相反委員会が十分な調査、ヒアリングなどを行ったうえで適切な措置を講ずる。深刻なCOI状態があり、説明責任が果たせない場合には、理事長は、理事会で審議のうえ、当該発表予定者の学会発表や論文発表の差止めなどの措置を講じることができる。既に発表された後に疑義などの問題が発生した場合には、理事長は事実関係を調査し、違反があれば掲載論文の撤回などの措置を講じ、違反の内容が本学会の社会的信頼性を著しく損なう場合には、本学会の定款にしたがい、会員資格などに対する措置を講ずる。

第2項
本学会の役員、各種委員会委員長、COI自己申告が課せられている委員およびそれらの候補者について、就任前あるいは就任後に申告されたCOI事項に問題があると指摘された場合には、利益相反委員会委員長は文書をもって理事長に報告し、理事長は理事会として当該指摘を承認するか否かを議決しなければならない。当該指摘が承認された時、役員および役員候補者にあっては退任し、また、その他の委員に対しては、当該委員および委員候補者と協議のうえ委嘱を撤回することができる。

第8条(不服申し立て)

第1項:不服申し立て請求
第7条第1項により、本学会事業での発表(学会機関誌、学術講演会など)に対して違反措置の決定通知を受けた者ならびに、第7条第2項により役員の退任あるいは委員委嘱の撤回を受けた候補者は、当該結果に不服があるときは、理事会議決の結果の通知を受けた日から7日以内に、理事長宛ての不服申し立て審査請求書を学会事務局に提出することにより、審査請求をすることができる。審査請求書には、利益相反委員会委員長が文書で示した撤回の理由に対する具体的な反論・反対意見を簡潔に記載するものとする。その場合、委員長に開示した情報に加えて異議理由の根拠となる関連情報を文書で示すことができる。

第2項:不服申し立て審査手続
1.不服申し立ての審査請求を受けた場合、理事長は速やかに不服申し立て審査委員会(以下、審査委員会という)を設置しなければならない。審査委員会は理事長が指名する本学会会員若干名および外部委員1名以上により構成され、委員長は委員の互選により選出する。利益相反委員会委員は審査委員会委員を兼ねることはできない。特別な事情が無い限り審査委員会は審査請求書を受領してから60日以内に審査結果を理事長に報告する。
2.審査委員会は、当該不服申し立てにかかる不服申し立て者から必要がある時は意見を聴取することができる。
3.理事長は理事会に諮り結論を得る。

第9条(細則の変更)

本細則は、社会的要因や産学連携に関する法令の改変などから、個々の事例によって一部に変更が必要となることが予想される。利益相反細則委員会は、本細則の見直しのための審議を行い、理事会の決議を経て変更することができる。

附則

第1条(施行期日)
本細則は、平成25年6月6日(年次総会終了翌日)に完全実施とする。

第2条(本細則の改正)
本細則は、社会的要因や産学連携に関する法令の改正、整備ならびに医療および医学研究をめぐる諸条件の変化に適合させるために、原則として、数年ごとに見直しを行うこととする。
本細則は、平成27年6月4日に改定し、平成27年7月1日より施行する。

第3条(役員などへの適用に関する特則)
本細則施行の時に既に本学会役員などに就任している者については、本細則を準用して速やかに所要の報告などを行わせるものとする。

第4条(役員、委員長、委員などのCOI申告書の提出方法)
細則第4条第1項に定める就任後の、役員、委員長、委員などのCOI申告書の年1回の提出は、事務局からメール発信により依頼され、当該者は様式に従い、COI申告書を事務局に提出する。